自分の話し声に困っている

体験レッスンの申し込みフォームのなかにある申込動機には、「自分の話し声に困っている」という選択肢をつけています。これをチェックされる方が、意外に多いのです。だから、あまりうたわないコースという、くどい名前がなくならないのです。

 

そんなコース、なにをするんですか?とかつて、他の講師から問われたこともありますが、幼少時から成人後も、声が小さいと言われ続けてしまった私からすると、あって然るべきコースなのです。声に困ったことのない人が講師になると、その意義がわからないものです。

 

さて、八月です。この時期、お問い合わせは極端に減ります。ことに東京の路上の気温が40度を軽く超え続ける夏が殺人的になってきて以後、文字通りに秋風が吹くまでは、問い合わせ自体がほぼ皆無になりました。確かに、そんなものかも知れません。今まさに、不要不急の外出は控えるべきです。

 

そんな私のもとに、昨日13日、世間ではお盆休み真っ盛りに体験レッスンが1日に3件入りました。独立して20年。こんなことは初めてだと思います。近頃忘れっぽくなりましたが、若い時分の記憶は確かです。こんなことはありませんでした。

3人のうちふたりまでが、「自分の話し声に困っている」方でした。確かにその声では、肝心な時はもちろん、普段も他の音にかき消されそうです。おふたりとも、現時点のご自身の身体のままで、今までとは違う発声で、確かに大きな声(響き)が出せることを知っていただき、そこにいたるこの時間のプロセスを説明しました。

いやあ、我ながらいいお仕事をしてしまいました。だからもう入会もせず、再び来られないかも知れません。だって、自分でできる上で判断に困らない方法まで教えて差し上げたわけですもの。いい仕事だからといって、効率の良い商売になるとは限らないという例です。

 

ところで、この暑さです。通例、100万円近くかけて入手した白い壁の防音室を体験レッスンには使用してきましたが、換気がこの時期の必要十分にできないため、気温湿度が馬鹿にならない状態になりやすく、隣に自作した防音室を体験レッスンでも使うようになりました。そこは吸音材が黒いため、初めてくる一般の方には暗い印象があるので避けてきたのですが、この部屋は冷房が必要十分以上に効くのです。もう、見た目だの印象だの構っていられません。暑いよりはいいものね。ということで、教室紹介には載っていない部屋で行なっております。ご理解お願い申し上げます。